HOME RECORDING DEMO ARCHIVE SERIES VOL.23
解説
01 SMILE A SMILE
YKK用に書いた曲。この後続く、2曲もそうだと思う。ただ、3曲も書いていると
言うことは、CMではなくて、海外用の社歌、だった可能性もあるが、残念なことに、
使われていない印象がある。この後、1ヶ月ぐらい経ってから少しやり直しているの
だが、あまり良くないので、HOME RECORDING DEMOにはこのバージョンだけを
収録した。この躍動感あふれる『SMILE A SMILE』を楽しんでほしい。
02 WE DO BELIEVE IN LOVE
元々のソングリストには、『PASS IT ON』とタイトルが書いてあったが、これは多分、勘違い。『PASS IT ON』のフレーズは、01と03に共通するもので、多分、YKK側が出してきたキャッチフレーズだと思っている。なぜ、1回も歌の中で使われていない『PASS IT ON』がこの曲のタイトルとして書かれていたのか謎だ。この時期、混乱するほど、いろいろな種類の曲を書いていたからかもしれない。
ところで、今、この原稿を書いていたら、『SMILE A SMILE』 と 『WE DO BELIEVE IN LOVE』 の2曲をタリスマンと一緒にスタジオで録音した記憶が蘇ってきた。この2曲、使われたのかもしれない。
03 SPREAD LOVE
素晴らしいバラードを書いたと思う。バースのところで、曲の構成をわざと、少し崩している。この辺は、とても今風で、40年前に時代の先取りをしていたかと思うと面白い。この曲、本当に使われなかったのだろうか。
04 涙のエピローグ
多分、自分用に書いた曲だと思う。当時、白い街角で日本語の歌詞とアレンジに苦労したので、その辺をなんとかしたいという思いがあったのだと思う。多分、誰にも聴かせていないと思うが、今回聞いてみて、意外と良かったので、HOME RECORDING DEMOに採用した。
歌詞は、完全にハード・ワールドの影響を受けている。
05 雨の海岸通り(雨のバス停)
この曲は小泉今日子さんのアルバムに収録されている。このデモで歌っている歌詞は、僕が書いたものだが、アルバムでは、三浦徳子さんが書き直して、タイトルも雨のバス停から雨の海岸通りに変わっている。
06 ときめきたいの
この曲も、小泉今日子さんのアルバムに収録されている。この曲も、アルバムでは、三浦徳子さんが書き直しているが、タイトルは変わっていない。
07 A GIRL A LADY A WOMAN
さて、この曲は何のために書いたのだろうか。ラテンぽい曲で、しかも、お金持ちの自分が全財産を投げ打って手に入れた女性のことを歌っている。間違いなく、ゴダイゴの歌でも、僕が自分のために書いた曲でもない。誰かのために書いたはずなのだが、さて、誰のためだろうか。
08 A GIRL A LADY A WOMAN PART 2
ラベルにはPART 2としか、書かれていなかったのだが、前の曲と同じ歌詞に全く違う曲が付いている。こちらは、テンポをグッと落として、僕が得意の裏声とオクターブ下の生声で歌う、ソウルフルな曲に仕上がっている。うーん。この歌を歌える歌手。誰だろう。
09 ONCE
僕は、この曲は、加橋かつみさんがヨーロッパの歌謡祭に出場するために書いた曲だと思っている。
何年か前、加橋かつみさんと話していて、その歌謡祭で賞を取ったと聞いてびっくりした。ただ、賞を取って帰ってきたのに、日本では、誰も興味を持ってくれなかった、と不満そうだった。
その時に「その時の曲は僕の曲ですか?」とは聞けなかったので、今回調べてみた。
その賞を取った曲名もわからなかったが、それだけでなく、この曲を加橋さんが歌っているかどうかもわからなかった。
ちなみに、この曲は、この後で、何回か変化を加えるが、基本的には、あまり変わっていない。歌謡祭用によくできた曲だと思う。
10 BABY STOP
これは、多分、自分用に作ったのだと思う。他の人のための曲や、CMに混ざって、急に自分用の曲を思いついたのだろう。『涙のエピローグ』の解説でも書いたが、当時よっぽど、日本語のオリジナルが気になっていたのだと思う。
曲も歌い方も柔らかいのに、ギターアレンジには既に次のアルバム泥棒日記のワイルドなテイストがあるから面白い。
この曲、僕は気に入っていたが、このデモをジョニーに聴かせたかどうかはわからない。
11 ROCK TO THE MUSIC
やっぱり、よくできている。みんながシングルにしようと思った曲は、最初のデモテープから飛び抜けている。
レコード会社がたくさん参加して共作で発売しようということになったこの曲だったが、僕のバージョンのレコードに『決定版』という言葉が付いて発売された事で、他のレコード会社が反発して、共作の試みが水の泡になったという話を聞いている。
この曲が日本のロックのスタンダードにならなかったのは悔しいが、いい曲が書けたので良しとしよう。
12 ONCE 3
ONCE 2は、あまりよくなかったので今回は選ばなかった。ONCE 3は、曲はほとんど変わっていないのだが、歌詞が相当書き換えられている。外国の音楽祭を意識してのことだったのかと思う。
13 CLOSE YOUR EYES
すごくかっこいいこの曲、ゴダイゴのコンサートで演奏していた記憶がある。
ただ、それだけではなく、どうも、この曲は、東京ディズニーランドの開園と関係している気がしている。
何度も話していると思うが、ゴダイゴはギリギリまで東京ディズニーランドの開園で演奏することが決まっていて、それもTOMORROW LANDに特設されたステージで演奏することになっていた。
それで、TOMORROW LAND風の曲があるといいということになって作ったのがこの曲なのでは、と思っている。
デモの録音日を見ると、83年4月6日となっていて、一方、東京ディズニーランドの開園日は、83年4月15日。開園のステージ用にスタジオでディズニーメドレーを録音したのは覚えているが、その時にこの曲も録音したのではないかと思っている。
ただ、不思議なのは、後で出てくるが、この曲に変更を加えたCLOSE YOUR EYES 2のデモが83年5月10日に作られていることだ。他のプロジェクト用にやり直したのか、それとも、単にゴダイゴの曲としてより良くしようという変更だったのか、誰のアイディアなのか、何もわからない。
ところで、このバージョンも、次のバージョンも、すごくいい。
14 MONKEY'S ON THE LOOSE
ジャッキーチェンの天中拳の日本でのキャンペーン曲、2曲のうちの1曲。僕は、こちらの方がCUNNING MONKEYよりもうまくできていると感じていたと思う。先に録音しているのがその証拠かも。
15 CUNNING MONKEY
前の曲もそうだが、こちらの曲も、ミッキーがアレンジした『水滸伝のテーマ』の影響を受けてアレンジしている。
16 CLOSE YOUR EYES 2
やけにかっこよく始まる。アメリカのバンドのようだ。このアイディアは、僕のものではないと思う。よくできている。
