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HOME RECORDING DEMO ARCHIVE SERIES  VOL.29
解説

01 いとしき人よ語れ

 23年8月の「僕はsinger竹越君バージョン」でも歌った、永井龍雲さんのために

書いた曲。
 その時に、この曲の作詞が阿久悠さんだったことに驚いたが、この後も、何曲か、

阿久悠さんの歌詞に曲をつけていたことにも、改めて驚いている。
 他のアーティストに曲を提供する時には、作詞家の人に会わないことが多い。

阿久悠さんにも会ったことがないし、このHOME RECORDING DEMO 29で紹介する

上田正樹さん用に書いた曲の作詞を担当している康 珍化(かんちんふぁ)さんにも会ったことがないし、浅香唯さんのSTARの作詞家有川正沙子さんにも会ったことはない。
 曲を提供していても、会っていないアーティストの人も多い。
 僕は意外とシャイなのか?

02 WHAT CAN I DO

 さて、なんのために書いたのだろう。なんだか、とてもプログレな曲だ。組曲のような作り方をしている。当時の機械を駆使してできるだけのことをやっているのだろうが、色々、足りていない。今だったら、もっと、荘厳な作品に作れたと思うが、少し、物足りない仕上がりだ。ただ、アイディアはかなりいいので、想像力で補いながら聴いていただけると嬉しい。

 

03 アルプス電気A

 今ではもう世界企業として大手電気メーカーになったアルプス電気が、当時、ほとんど初めてCMをするということで作った曲。どうしてもインストロメンタルにしたい、という注文だったので、頑張ったのだが、相当悩んだのだと思う、少し、声が入っていたりしながら、何種類も、作っている。

04 アルプス電気B

  アルプス電気Bタイプ。

05 アルプス電気C

 アルプス電気Cタイプ。

06 アルプス電気D

  アルプス電気Dタイプ。

07 思い出が降る夜

 上田正樹さんに書いた曲。そして、DON’T TURN BACKのLOVE IS FOR FREEの日本語曲。この歌詞が上田さんが歌っている歌詞とほとんど同じで、作詞は康 珍化(かんちんふぁ) さんのクレジットがあるところから考えると、この曲は、先に歌詞をもらって、それに曲をつけたものかもしれない。だから、英語のデモテープは存在していない。DON’T TURN BACKのアルバムで、人への提供曲を英語でセルフカヴァーするというコンセプトを思いついた時に、この曲を、英語で歌いたいと思い、英詞を奈良橋さんに書いてもらったのだと思う。

08 DUET

 1985年にテレビ番組、「家族ジャングル」の挿入歌として作られた曲だというが、詳しいことは覚えていない。これも、DON’T TURN BACKに収録されている。

09 砂漠の街

 この曲は覚えている。「誇りの報酬」のテーマ曲をインストで作って欲しいという注文で作った。都会の砂漠がテーマだというので、近未来SFの映画のオープニングをイメージしながら、当時の機械を駆使して作ったのだが、めちゃくちゃに評判が悪かった。僕は、今聞いても、少しも変だとは思わないのだが、当時は、テレビの刑事ドラマのオープニングには、はっきりとしたメロディがあるのが、当たり前だったので、こういうボヤーっとした曲は、ドラマのテーマ曲にはならない、と思われていたんだと思う。
 さらに、都会の砂漠という言葉も、僕がイメージした乾き切ったものではなかったらしい。
 「あぶない刑事」の次のドラマということで、ドライなタイプのドラマになるのかと思っていたのだが、実は、「あぶない刑事」とは真逆の、砂漠のような都会でも感情をあらわにしながら働く刑事のヒューマンドラマを作りたい、ということだったらしい。
 このインストの評判が悪かったので、この後、僕は、楽器の使い方に自信を無くして、他の曲も、なかなかアレンジが進まなくなるという、辛い時期を迎える。

10 恋のアバンチュール

 この曲も、「誇りの報酬」のために書いたのだと思うが、よくわからない。ただ、僕が作曲して風見りつ子さんが歌っている「誇りの報酬」の挿入歌に「アバンチュールはゴージャスに」という曲があるところを見ると、同じアバンチュールという言葉を使っているので、無関係とは思えない。
 結局、こんなに明るい曲が使えるドラマではなかったから、この曲はもちろん、使われていない。

11 電柱組下部組織

 ここからは「元旦が来た」で皆さんご存知のイメージアルバム、「県立地球防衛軍」用に作ったデモが続く。このアルバムも、10曲のうち、半分はインストにしてくれと言われて、とんでもなく大変な思いをした。
 ところで、それとは別に、このアルバム作りは記憶に残っている。
 曲を作って、アレンジして、それをコンピューターで演奏させるためのデータを10曲分作る、という膨大な作業には、何日もかかるはずなのに、大雑把な僕はそのための日程を1週間しかとっていなかった。しかも、その1週間は、スタジオに入って声優さんの歌を録音して、トラックダウンまでして仕上げるという期間だったのだから、無謀だった。スタジオに入るまでに僕に与えられたのはたった4日間だったような気がする。
 曲だけを作るのならば、10曲でも、4日もあれば容易にできるのだが、 楽器のパートをアレンジして、さらに、それをコンピューターに演奏させるようにデータを入れるとなると、時間がかかる(普通は分業で行われるもので、一人で、全部をやっている人は、この当時はほとんどいなかった)。
 1曲目のインストを仕上げて、時間をみたら、6時間かかっていた。
 「これは眠れないかもしれない」僕は、ちょっと大袈裟につぶやいたつもりだったが、それは現実になった。
 5日目にスタジオに機材を運ぶためにスタッフが家に来た時、僕はやっと、10曲目のデータを入れ終えていた時だった。結局、僕は4日間一睡もしないで作業をした。
 実に、こんなことは一生で初めてで、さらに、この後も、こんなことは経験していない。

12 マッスル日本

 「マッスル日本」と叫ぶ、というアイディアと、やたら早いギターのフレーズのある曲を作ろうと決めて作った曲。

13 私 思ってるほど子供じゃない -バラダギのラブソング

 もともと、新しいセンスのギャグ漫画だった作品のイメージアルバムなので、真面目なふりをしてふざけた曲ばかりだったのだが、この曲は普通にできると喜んで書いた。

14 IT'S ONLY PASSION

 「誇りの報酬」の中村雅俊さんが歌う主題歌のために書いたのだと思うが、採用されなかった曲。
 歌い出しのところが、後に浅香唯さんの「STAR」のヒントになっている。

 

15 WAIT

 この曲も、「誇りの報酬」の中村雅俊さんが歌う主題歌のために書いたが、採用されなかった曲。僕は、やっぱり、おしゃれな曲がいいと、どこかで思っていたらしい。

16 THEME OF AKIO

 ドラマ用の曲としては、中村雅俊さんが歌う主題歌以外に、番組の中でBGMとして主人公二人のテーマ曲が必要だった。僕は歌詞がある方が曲を描きやすいので、ジョニーに歌詞を書いてもらって書いた、根津甚八さん演じる、萩原秋夫のテーマ曲のデモテープがこれだ。
 いろんなバリエーションでBGMを作ったが、「誇りの報酬」のアルバムを作ることになって、この曲と、中村雅俊さん演じる、芹沢春樹のテーマ曲は、歌入りにすることにして、僕が歌った。

17 THEME OF HARUKI

 これが、中村雅俊さん演じる、芹沢春樹のテーマ曲。
 この時は根津甚八さん演じる、THEME OF AKIO用に書いてもらった歌詞しかなかったので、同じ歌詞で作った。アルバムになるときにジョニーに新しく歌詞を書いてもらったのだと思う。

18 WONDERFUL IS EVERYTHING

 この曲も、「誇りの報酬」の中村雅俊さんが歌う主題歌のために書いた曲。僕としては、もう、この辺で決めてもらいたかった。

19 乱したいミステリー

 この曲も、「誇りの報酬」の中村雅俊さんが歌う主題歌のために書いた曲だと思う。ただ、サビの感じは、沢田研二さんの曲みたいになっている。

20 また逢いたいねはもう逢えないね

 やっと、主題歌のB面の曲が来たと思ったら、タイトルは「また会いたいねはもう逢えないね」なのに、メロディーは全く違う曲だった。
 こういう曲も、ありだと思うのだが、最終的には、YOU BRING THE RAINが「また会いたいねはもう逢えないね」になるわけだ。しかし、B面の曲として、YOU BRING THE RAINに、この曲の歌詞が付け替えられたのだということは、ずっと気がつかなかった。

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